「この子がよかった」と思える出会い ~ 保護犬 里親インタビュー ~の画像1

ペットショップから迎えた犬、野良犬、そして繁殖引退猫……。長年にわたるさまざまな動物との暮らしを経て、今度は保護団体から8歳のビションフリーゼを迎えたAさん(仮名)。「保護犬」にまつわるリアルな体験や感想を、率直に語ってもらいました。

※ Aさん:複数頭の犬や猫を飼育してきたベテラン飼い主。現在はビションフリーゼ(保護犬・8歳で引き取り)、ウサギ、繁殖引退猫のマンチカン(猫)と暮らす。

保護犬を迎えるまでの経緯

Q. まず、これまでの飼育歴を教えてください。
A. 野良犬を拾ったことから始まって、その子が産んだ子犬も含めると犬だけで4頭。そこにペットショップで購入した小型犬と大型犬が3頭、合計7頭の犬と暮らしてきました。それぞれ性格も体格もまったく違って、「犬」というくくりでも一頭一頭こんなに違うのかと、毎回驚かされてきましたね。

Q. 今回のビションフリーゼとはどんな経緯で出会ったのですか?
A. 高齢の方が飼っていたたしいのですが、その方が亡くなったあと、ご親族も引き取れないということで保護団体に預けられていた子でした。引き取ったときにはもう8歳。犬で8歳というと、そろそろシニア期に差しかかる頃です。その保護団体では、問題なければ預かっている犬をフリースペースで自由にさせる方針だったのですが、他の犬たちが追いかけっこやワンプロをする中で、一匹だけ“犬のいないところ”に逃げ惑っていました。その様子からあまり他の犬とは仲良くできないタイプだろうなと感じたと同時に、「もし自分が引き取らなかったらこの子はどうなるんだろう」と思ったことが、踏み切れた理由のひとつだったかもしれません。

Q. 8歳という年齢について、不安はありませんでしたか?
A. 正直、医療費はこれから増えていくだろうと覚悟はしていました。過去にシニア犬も看取ってきているので、その点の心構えはできていたと思います。ただ、「人間とどういう付き合い方をしてきたか」「これまでどんな暮らしをしてきたか」は引き取ってみないとわからない部分が大きくて、そこは少し気負ってしていましたね。

保護団体から聞いた「正直な情報」

Q. 保護団体からは、どんな事前情報を聞かされましたか?
A. トイレのしつけができていないこと、いわゆる粗相が多いということ。それと、人の食べ物をよく欲しがって、少し太り気味だということ。骨太で大きめの体形ということもあり、保護時は9kg以上(ビションフリーゼの平均体重は5~7kg程度)もあったとか。それを規則正しい食事と散歩で8.5kgくらいまで減らしたところだと教えてくれました。また散歩の習慣がなかったのか、あまり散歩が上手ではないなど、保護団体の方はとても正直に教えてくださって、それは逆に信頼できるなと感じました。「かわいいところ」だけでなく「困るかもしれないところ」もちゃんと伝えてくれる団体かどうかって、選ぶときの大事な基準だと思います。また、「犬よりも人間が大好きで、分離不安が大きい。留守番はおそらく難しい」という話も聞いていましたが、幸いパートナーが在宅勤務で長時間の留守はほとんどないことから「大丈夫だろう」と思いました。子どももいるので、人間好きというのはかえってメリットが大きいかな、と。

Q. トイレの問題は、引き取り後どうなりましたか?
A. これが意外にあっさり解決して。主にご飯や起床直後など、決まったタイミングでトイレや散歩でするようになりました。飼いはじめからケージ内だけにトイレを設置し、教えていたら自然に覚えてくれた感じです。ただ、ごく稀に「わざと」粗相することがあって(笑)。こちらの気を引きたいときやかまってほしいときに、廊下の真ん中とか洗濯物の上といった「人が嫌がるところ」でやるんですよね。そういう行動をするということは、それだけ人のことをよく見てるということでもあるんですが。

Q. 食欲旺盛・太り気味の問題はいかがでしょう?
A. 食事の量や散歩をきちんとするようにしたら少しずつ落ち着いて、今は7.5~7.8kgくらいです。持ち前の食欲に加え、「もらえるなら食べる」という習慣がついていたんだと思います。これは前の生活の名残で、その子が悪いわけじゃないので、根気よく付き合っていく感じですが、今でも人間が何か食べるととにかく欲しがるので、人間が与えるのをガマンする方が大変です(笑)。

先住動物との共存

Q. 引き取り当時、すでにウサギがいたとのこと。共存については心配しませんでしたか?
A. それが一番気になっていた点でした。犬とウサギを同じ家で飼うって、普通に考えたら「大丈夫?」ってなりますよね(笑)。でも実際に一緒にしてみたら、そもそもこの子が他の動物にまったく興味を示さないタイプで。ウサギに近づいても「……で?」みたいな顔をするんです。むしろウサギの方が「やるのか、こら~!」って威嚇するほど(笑)。生活スペースがある程度分かれていることもあって、拍子抜けするくらいすんなり共存できました。

Q. その後、繁殖引退のマンチカンも迎えられたとか。
A. はい。ブリーダーさんから繁殖を引退したマンチカンを引き取りました。猫と犬、となるとまた心配が出てくるかなと思っていたのですが、このマンチカンもビションフリーゼも、揃ってのんびりした性格なんですよ。どちらもお互いをあまり気にしていないというか、なんとなく同じ空間に存在している感じ。一緒に遊んだり交わることもありませんが、それぞれ好きな場所でくつろいでいます。

Q. 相性の良し悪しはどう判断したのですか?
A. これはやってみるまでわからない部分が大きいです。ただ、引き取り前に団体の方から「他の動物に対してどういう反応をするか」を聞いておくと参考になります。この子は「他の動物に無関心」という情報を事前にもらっていたので、ある程度の見通しはできていました。

性格がわかっていたから、早くなじめた

Q. 保護団体でつけられていた名前を引き継いで呼んでいると聞きました。
A. はい。引き取る前からその名前で呼ばれていたので、そのまま使っています。新しい名前に変えてもきっと覚えてくれるとは思うのですが、それまでの自分の名前って体に染みついているでしょうし、急に変える必要もないかなと。試しに別の呼び方をしてみたら首をかしげつつ反応していたので、この子はそこまで気にしないタイプかもしれませんけどね(笑)。保護団体でつけられていた名前が「1号」「2号」とかだったらさすがに変えたでしょうが……。

Q. 8歳という年齢で、心の距離を縮めるのに苦労しましたか?
A. 最初は緊張しているのかな、という雰囲気はありましたが、この子はとにかく人好きで、わりと早い段階からそばにいたがって、なんなら初日から人のベッドに飛び込んできました。だからむしろ、「留守番はもちろん、クレートやゲージで寝ることもできないな」という不安を感じました。でもものを壊したり暴れたりというイタズラをするわけでもないし、どこかしら安心できる場所があるならそれでいいか、とクレートトレーニングはあまりしませんでした。今では人間のベットやソファのど真ん中に居座って、グーグー寝ています(笑)。成犬から迎えることを不安視する方も多いと思いますが、むしろ「この環境が安心」と判断したら早く馴染んでくれる、という印象を持ちました。

想定外だった「日々のケア」

Q. 飼育費用や手間について、事前の想定と実際のギャップはありましたか?
A. 医療費や餌代はこれまでの経験でだいたい把握していたつもりでしたが、ビションフリーゼはトリミングにかかる手間とコストが想定より大きかったです。この犬種は毛が伸び続けるダブルコートで、定期的なカットとブラッシングはもちろん、自宅でのケアもかなり念入りにしなくてはならなくて。実は保護時は「毛が絡んですごかったので」と丸刈りにされていたんです。半年ほどはアフロヘアにするために伸ばしつつ、自宅でシャンプーやブラッシングをしていたのですが……きちんとできていなかったらしく、トリミングに行ったら「下毛が絡みすぎてるので、2mmのバリカンで一度リセットさせてください」と言われてしまって。再度丸刈りにさせてしまいました……。よくよく聞くと、ビションフリーゼは毎日1時間以上ブラッシングする飼い主さんも珍しくないようで。上毛がフワフワと手入れされているように見えても、プロが見ると下毛がきちんと梳かれていない状態になりやすいそうです。許容範囲ではあるのですが、プロのトリマーさんに「自分でできるケアの方法」を教わりながら、少しずつ対応できることを増やしているところです。

Q. 犬種ごとのケア情報について、調べていて感じることはありますか?
A. ネットで調べると、同じ犬種についてでも情報がバラバラなことがあって。特に毛のケアはシングルコートと書いてあるものもあれば、ダブルコートと書いてあるものもあり、読めば読むほどよくわからなくなりました。犬種ごとの大まかな性格も、結局は犬それぞれに個体差があるので、「この犬種はこう」というマニュアル通りにはいかない部分も多い。引き取った子の毛質や体質を観察しながら、その子に合ったやり方を見つけていくしかないかなと思っています。

「留守番が苦手」という個性と、うまく付き合う方法

Q. この子を迎えて、暮らしの中で変わったことや悩みがあれば聞かせてください。
A. 一番の悩みといえば、留守番があまりできないことですね。とにかく人が大好きな子で、誰もいない空間がどうしても苦手で、一人でいると吠え続けたり粗相してしまう。これはもうこの子の個性なので、「なんとかしなければ」というよりは「どうやって一人にしないようにするか」を考えるようになりました。

Q. 具体的にはどう対応しているのですか?
A. 誰かしら在宅している日は問題ないのですが、ごく稀に全員が数時間以上外出するときは親類に預けています。預け先の家でものびのびと過ごしているみたいで、旅行のときも安心して任せられます。「誰かがいれば大丈夫」な子なので、人間側がうまくローテーションを組むイメージです。

Q. それはある意味、この子の「人好き」という個性の裏返しでもありますね。
A. そうなんです。デメリットのように聞こえるかもしれませんが、それだけ人への信頼度が高い子とも言えて。一緒にいるとこちらまで元気をもらえる感じがするんですよね。「この子でよかったな」と思える瞬間がたくさんあります。

保護犬を迎えることを考えている人へ

Q. 最後に、初めて保護犬を迎えることを考えている方へ、一言いただけますか?
A. 「成犬だから大変」とか「過去がわからないから怖い」というイメージを持つ方も多いと思いますが、実際に一緒に暮らしてみると、それほど身構えることはなかったというのが正直な感想です。むしろ、年齢がある程度いっていることで性格が安定していて、「どんな子か」が見えやすいという良さもある。保護団体がきちんと情報を開示してくれるところを選ぶことと、「最初からうまくいかなくても当たり前」という気持ちで接することが大事かなと思います。この子たちも、新しい環境に慣れようと精一杯努力しているわけですから。
あと、犬種のケア情報は「参考程度」に留めておくこと。読みすぎて混乱するより、目の前の子をよく観察して、その子に合ったやり方を探していくのが結局一番の近道だと思っています。